Last Updated on 2021-05-09
ここでは、前回のTeX文章の書き方(基本)で省略した方法や、私が文書を作成する際に体裁を整えるために行っている工程等を紹介します。使用頻度の低いものや、ニッチなものはTeXの文章の書き方(発展)で紹介しています。そちらも合わせて活用してください。
文書のオプション設定
文書のオプションを\documentclass[]{}
の[]
内に記入することは前回の記事で紹介しました。前回紹介した3つ以外にも、以下のようなものが設定できます。これは、{}
内に指定した文書クラスに依存します。
オプション | 説明 |
---|---|
10pt |
文字サイズを10ptに設定します。 |
11pt |
文字サイズを11ptに設定します。 |
12pt |
文字サイズを12ptに設定します。 |
a4paper |
用紙サイズをA4に設定します。 |
a5paper |
用紙サイズをA5に設定します。 |
b4paper |
用紙サイズをB4に設定します。 |
b5paper |
用紙サイズをB5に設定します。 |
landscape |
用紙を横向きにします。 |
twocolumn |
文書を二段組に設定します。 |
fleqn |
独立した数式を左寄せに出力します。 |
leqno |
数式番号を左寄せに出力します。 |
また、文書にパッケージを導入する場合は、プリアンブル部(\documentclass[]{}
と\begin{document}
の間)に\usepackage{}
を入力し、{}
の中にパッケージ名を入力します。
\documentclass[10pt, a4paper, dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage{samplepackage}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
\end{document}
余白の改善
余白を調整したい場合は、プリアンブル部に\usepackage[]{geometry}
と入力し、[]
の中に余白を指定します。一般的な調整であれば、[top=Xcm, bottom=Xcm, left=Xcm, right=Xcm]
とし、X
を任意の値に置き換えれば問題ないでしょう。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage[top=2cm, bottom=2cm, left=2cm, right=2cm]{geometry}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
\end{document}
目次の付け方
文書が長くなり、目次をつける必要がある場合、目次を挿入したい箇所に\tableofcontents
を入力します。目次には、文章見出しがと該当ページが自動的に挿入されます。
次に紹介する「ページ番号の改善」と競合するので、両方を使用する際は、改ページが行われない範囲で\tableofcontents
を入力してから\pagestyle{chpage}
を入力してください。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
\tableofcontents
\section{節の見出し}
ここに節の本文を入力します。
\subsection{小節の見出し}
ここに小節の本文を入力します。
\subsubsection{小々節の見出し}
ここに小々節の本文を入力します。
\end{document}
ページ番号の改善
ページ番号を「現在のページ / 全体のページ」にしたい場合は、プリアンブル部に\usepackage{lastpage}
と\userpackage{fancyhdr}
を入力し、以下の4行目~9行目のようにします。その後、\begin{document}
の後に、\pagestyle{chpage}
と入力し、ドキュメントにスタイルを適用します。これを応用することでページ番号の位置を変更することもできます。
前に紹介した「目次の付け方」と競合するので、両方を使用する際は、改ページが行われない範囲で\tableofcontents
を挿入してから\pagestyle{chpage}
を入力してください。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage{lastpage}
\usepackage{fancyhdr}
\fancypagestyle{chpage}
{
\fancyhead{}
\cfoot{\thepage{}/{}\pageref{LastPage}}
\renewcommand\headrulewidth{0pt}
}
\begin{document}
\pagestyle{chpage}
ここに1ページ目を入力します。
\newpage
ここに2ページ目を入力します。
\end{document}
コメントアウト
文章の一部をコメントアウトして表示しないようにしたい場合は、%
を入力します。この%
以降の文章は、改行まで無視されます。これを応用し、数式や表の前後にコメントアウトした空白行を入力するなどの方法でエディタに入力中の文章の視認性を高めることもできます。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
%
\begin{itemize}
%\item リンゴ %apple
\item バナナ %banana
\item オレンジ %orange
\item ピーチ %peach
\end{itemize}
%このコメントは
無視されます。
\end{document}
URLの挿入
URLを挿入したい場合、特に日本語等がURLエンコーディングされている場合などは、\
や_
等の特殊記号をエスケープしなければ正しく出力されません。しかし、エスケープしてしまうとエディタ上では正しいURLではなくなってしまいます。これを防ぐために、URLをまとめて処理するパッケージが使用できます。まず、プリアンブル部に\usepackage{url}
を入力します。これによって、\url{}
が使用可能になります。この{}
内にURLエンコーディングされたURLを入力することにより、URLがタイプライター体で出力されます。URL内に特殊記号が存在する場合でも正しく出力されます。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage{url}
\begin{document}
このように参考サイト\cite{ex}が参照できます。
\begin{thebibliography}{99}
\bibitem{ex} 架空の著者 \url{https://coicos.net/site/how2/tex/} (アクセス日:yyyy-mm-dd)
\bibitem{some} 架空の著者 『架空のタイトル』 第N版 (架空出版社, yyyy)
\end{thebibliography}
\end{document}
ハイパーリンクの設定
PDFファイルで出力し、印刷せずにPDFファイルのまま取り扱う場合、記載されたURLをクリックして直接アクセスできると便利です。このようにクリックするとそのページに移動できるURLをハイパーリンクと言い、挿入する際には上記のURLの挿入で行った手段に加え、プリアンブル部に\usepackage[dvipdfmx]{hyperref}
を入力します。これだけで、URLがハイパーリンクになります。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage{url}
\usepackage[dvipdfmx]{hyperref}
\begin{document}
次のURL(\url{https://coicos.net/site/how2/tex/})は、直接クリックすることで該当ページに移動できます。
\end{document}
脚色
脚色を挿入したい場合は、\footnote{}
を用い、{}
に脚色の内容を入力します。特に番号を指定したい場合は、\footnote[]{}
とし、[]
に番号を指定します。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文を入力します。脚色\footnote{このように出力される。}はページの下端に挿入される。
\end{document}
表の装飾
前回紹介した\hline
での横罫線以外にも、縦罫線や、部分的な罫線を引くことができます。
縦罫線
縦罫線は、表を挿入する際に位置を指定した\begin{tabular}{}
の{}
内の罫線を引きたい箇所に、|
を入力します。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
\begin{table}[hb]
\centering
\caption{罫線}
\begin{tabular}{|c||c|c|c|}\hline
& 名称 & メーカー & 番号 \\ \hline \hline
電圧計 & denryu-15V & oo社 & E-123 \\ \hline
電流計 & 5A-denatu & xx測器 & I-135 \\ \hline
検流計 & kenryu & ox計器 & G235 \\ \hline
\end{tabular} \label {keisen}
\end{table}
\end{document}
セルの結合(横)
セルを横方向に結合する際は、結合したいセルに\multicolum{}{}{}
と入力し、1つ目の{}
には結合したい列の数を、2つ目の{}
には結合した後の位置合わせを、3つ目の{}
にはセルの内容を入力します。この際、縦の罫線を指定しないと結合した箇所の罫線が消えてしまうので注意してください。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
\begin{table}[hb]
\centering
\caption{セル結合}
\begin{tabular}{|c||c|c|c|}\hline
\multicolumn {2} {|c|} {名称} & メーカー & 番号 \\ \hline \hline
電圧計 & denryu-15V & oo社 & E-123 \\ \hline
電流計 & 5A-denatu & xx測器 & I-135 \\ \hline
検流計 & kenryu & ox計器 & G235 \\ \hline
\end{tabular} \label {ketugou}
\end{table}
\end{document}
セルの結合(縦)
セルを縦に結合することはできないのですが、横罫線を一部消滅させることで擬似的にセルを接合させることができます。表の一部のみに横罫線を引く場合は、\hline
ではなく\cline{}
を用いて、{}
に罫線を引きたい列数を入力します。-
を用いて複数行を指定します。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\begin{document}
ここに本文を入力します。
\begin{table}[hb]
\centering
\caption{セル結合}
\begin{tabular}{|c||c|c|c|}\hline
& 名称 & メーカー & 番号 \\ \hline \hline
電圧計 & denryu-15V & & E-123 \\ \cline{1-2} \cline{4-4}
電流計 & 5A-denatu & oo社 & I-135 \\ \cline{1-2} \cline{4-4}
検流計 & kenryu & & G235 \\ \hline
\end{tabular} \label {ketugou}
\end{table}
\end{document}
画像の相対指定
画像を.tex
ファイルが保存されているフォルダにコピーせず、実感結果等が保存されているフォルダから相対パスで取得する方法です。sample.jpg
という画像を例に説明すると、同じフォルダにコピーした際は\includegraphics{sample.jpg}
と指定していましたが、この{}
の中を{../result/sample.jpg}
のように相対パスで指定するだけです。
相対パスとは、.tex
が存在するフォルダから見てどこにファイルが存在するかを示すパスです。「私の家の隣のマンションの202号室」のようなイメージです。一方、「東京都千代田区永田町1丁目7-1」のようにどの場所から見ても確実に場所がわかるパスを絶対パスといいます。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage{bmpsize}
\begin{document}
ここに本文を入力します。図\ref{fig:sample}に示す。
\begin{figure}[hb]
\centering
\includegraphics{../result/sample.jpg}
\caption{サンプルの画像}
\label{fig:sample}
\end{figure}
\end{document}
画像の絶対指定
画像を.tex
ファイルが保存されているフォルダにコピーせず、実感結果等が保存されているフォルダから絶対パスで取得する方法です。sample.jpg
という画像を例に説明すると、プリアンブル部に\graphicspath{{}}
と入力し、内側の{}
の中に画像が保存されているフォルダの絶対パスを指定します。後は、通常通り\includegraphics{sample.jpg}
と指定すれば指定可能です。
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\usepackage{bmpsize}
\graphicspath{{C:\Users\coicos\pictures\result}}
\begin{document}
ここに本文を入力します。図\ref{fig:sample}に示す。
\begin{figure}[hb]
\centering
\includegraphics{sample.jpg}
\caption{サンプルの画像}
\label{fig:sample}
\end{figure}
\end{document}
これらの方法を適切に使用できるようになると見た目が整います。他にも様々な手法があるので、TeXの文章の書き方(発展)やインターネットで検索してみてください。